▼イランのアフマディネジャド大統領は現下の世界的金融危機を「資本主義の終わりの始まりだ」と指摘した。19世紀中頃にカール・マルクスが資本主義の崩壊を予言して以来、大きな不況が来るたびに資本主義の危機が叫ばれた。
▼最近では97年のアジア通貨危機である。しかし世界経済はその後、歴史上前例のない経済成長を遂げている。大恐慌以来最悪の金融危機といわれるが、諸悪の根源は今回、アメリカ型資本主義だろう。
▼アメリカ型資本主義とは新自由主義経済のことだ。1970年代頃まではほとんどの先進国が国家による富の再分配を中心とした「大きな政府」や「福祉国家」だった。だがオイルショックなどで慢性的な不況と財政赤字が拡大、特に米国では不況とインフレが同時進行し失業者が増大した。
▼そこで米国は80年代に新自由主義を採用、同時にいわば製造業を捨てて金融資本主義で国を立て直した。新自由主義の真逆ともいうべきソ連共産主義が91年に崩壊する一方で、90年代の米国は10年に渡り景気拡大が続いた。
▼バルブ崩壊以降、経済停滞に苦しみ、少子高齢化、資源もない日本は米国の要請もあり金融業の規制緩和や郵政民営化など新自由主義を本格的に取り入れ始めた。「一億総中流」「世界で唯一成功した社会主義」とまで言われた日本は一気に格差社会となった。
▼今になって市場主義や規制緩和は少し間違っていましたといわれても我々庶民はとまどうばかりだが、自国経済を守るためにと戦前のようなブロック経済に戻るわけにもいくまい。
▼戦前のブロック経済では行き詰まった国が他国へ侵略し、結局は世界大戦を招いた。グローバル資本主義を非難する前に、まずは行き過ぎた金融資本主義(=カジノ経済)の制限や自由市場のルール作りだろう。
▼今年は丑年。経済政策は大胆かつ急いだ方がいいが、庶民の方としては、あせらず堅実にやれば結果はついてくると信じたい。(武)
No comments:
Post a Comment