Tuesday, January 13, 2009

オバマ次期大統領に降りかかる国際的な危機

▼またしても中東が火を吹いた。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザのハマスへ空爆を開始、地上軍も投入し、女性や子どもなど民間人を多く含むパレスチナ人の死者は600人を超えた。イスラエルにも死者が出ている。国連などによる停戦調停は米国の拒否により芳しくない。
▼発端となったのはハマスとの停戦合意の期限切れで、ハマスが先にロケット弾を飛ばしたのは間違いない。しかしイスラエルが強硬策に出たのは、選挙を控えた与野党の人気取り合戦という面がある。果たして戦火は広がるのか。
▼昨年10月、パウエル元国務長官は「オバマ就任翌日の1月21日か22日に、危機が起きる。それがどんなものか、今はわからない」とテレビで唐突に述べ、同時期にはバイデン次期副大統領も「就任後半年以内に国際的な危機が発生し、オバマはジョン・ケネディのように試練に立たされる」と発言した。ケネディの試練とは1962年のキューバ危機を指す。
▼試練とは中東大戦争に繋がることなのか。ニューヨーク・タイムズは10日、イスラエルが昨年、核兵器開発阻止のためイラン空爆を計画、米国に軍事支援を要請したがブッシュ大統領が拒否したと報じた。
▼アルカイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者は6日、イスラエル、米国を批判する声明を発表。アルカイダ系武装組織「イラク・イスラム国」の指導者アブオマル・バグダディ師も10日、声明を発表し「世界中のパレスチナ人は軍事的技量を用いて、あらゆるユダヤ人、米国人の権益を標的として(ガザを)支持せよ」と述べ、テロ活動を呼び掛けた。
▼金融危機、ビッグスリー救済、世界的不況、イラク、アフガン、米ロ新冷戦などブッシュ政権が残した負の遺産はあまりにも大きく、イラン、パレスチナ、北朝鮮問題なども未解決のままだ。困難に打ち勝ち、オバマ次期大統領が新しい時代を切り開くことを期待したい。

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