Tuesday, October 03, 2006

機密報告書のスクープ

▼ニューヨーク・タイムズは24日、イラク戦争がイスラム過激派の活動を活発化させ、テロのネットワークを拡大させる結果となったと、米政府の機密報告書「国家情報評価(NIE)」が結論付けていることをスクープした(電子版は23日)。
▼「国際テロの傾向」と題されたこの報告書は、中央情報局(CIA)など16の米情報機関の統一見解を盛り込んだもの。米国やイスラエルなどへの「ジハード(聖戦)」の思想は、イラク戦争によって世界に広がったと指摘、イスラム過激思想は衰退しているというより、地球規模で転移、拡大したと結論付けている。
▼テロとの戦いにより「世界はより安全になった」と主張しているブッシュ政権は慌てふためき、「(報道はテロの全体像を)歪曲している」(ネグロポンテ国家情報長官)などと反論、ブッシュ大統領は「報道でイラク戦争開戦は誤りだったと結論付ける人も出てくる。それには我慢ならない。自分自身で結論を出してほしい」とした。
▼だがこれで収まるわけがなく、上院情報特別委員会のロックフェラー副委員長(民主党)は長官に書簡を送り、上院議員にも公開されない機密扱いのNIEの公開を要求、国家情報長官局は26日、機密解除してその一部を公表した。
▼報告書は、「イラクでの『聖戦』は新世代のテロ指導者や活動家を作り上げている」「反米を掲げる新たな過激派が出現する可能性が高まっている」と指摘、イラクでの紛争が「米国に対する深い憎悪を生み、世界規模の聖戦の動きを支援する勢力を助長させている」と明確に分析している。
▼イラク戦争に反対していた人たちから見れば、なにをいまさらという感じだが、これが世の中の流れというものだろう。中間選挙を前に野党民主党は勢いづく。
▼それにしても、報告書は政府機関内での激論を経てまとめられたものなのだというのに、何故それがブッシュ大統領の言うことと違っていたのか。
▼日本では安倍新内閣が発足した。いろいろ考えはあるだろうが、まずは誠実で、腹蔵のない政治運営を願いたい。

No comments: