▼ホリエモンこと堀江貴文ライブドア社長が逮捕された。容疑は証券取引法違反などだが、「ライブドア」ショックは海外市場にまで及び、逮捕は海外メディアも取り上げた。
▼昨年のニッポン放送株買収劇では、「人の心は金で買える」などと言い放つ堀江氏をどう見るかで、新しい日本人か古い日本人かが分かるとまで言われた。賛否両論のホリエモン。小泉首相すら見境もなく改革のシンボルとして衆院選出馬を促した。ホリエモンというキャラクター自体、高株価を狙った計算づくの演出だったのか。
▼堀江氏は日本のビル・ゲーツという声があった。超一流大学を中退し会社を起こし、他社に嫌われながらも、あらゆる手を使い短期間に巨大企業にしていったところは確かに似ている。
▼しかし、一方で「光クラブ事件」の山崎晃嗣を連想させるという声もあった。まだ戦後の混乱が続く昭和二十三年、山崎は東大在学中に高利貸しの闇金融「光クラブ」を設立する。既成の価値観にとらわれない徹底した合理主義者の山崎は短期間で大成功を収めるが、物価統制法と銀行法違反の疑いで逮捕される。堀江氏も同様の道を辿っている。
▼「光クラブ事件」は債務返済に行き詰まった山崎が青酸カリ自殺をして終わる。まさか堀江氏はそんなことにはならないとは思うが、ライブドア関係者が一人、すでに自殺した。
▼これは日本版エンロン事件である。ルールなき市場経済は社会自体を壊していく。ルールの隙をついたつもりで会社を急成長させてきた堀江氏だが、今度は市場のルールに裁かれる。 (西)
(CAPITAL06年2月1日号より)
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