Wednesday, February 08, 2006

ジニ係数と階級社会

▼所得格差の程度を示す指標にジニ係数というものがある。税や社会保障を通じた再分配後に全員の所得が同額になる状態を0、分配されず1人が全所得を独占している状態を1とし、所得分配の不平等さから貧富の差の大きさを示すものとされる。
▼経済協力開発機構(OECD、加盟30カ国)が04年発表した加盟国のジニ係数では、日本は0.314で、平均の0.309を上回った。日本はジニ係数が上昇傾向にあることがはっきりしている。OECDの中で日本より不平等な国は数カ国しかない。
▼その数カ国に米国が入っている。米国は中国とほぼ同じなのである。中国は開放経済で急成長する臨海都市部と内陸の農村部の貧富の差が激しい。米国は移民を多く受け入れ続ける多民族国家であり、高い能力を発揮する人には高い報酬を支払い、それを軸に全体として高い経済成長を続ける形態を取っていると言える。
▼小泉政権の「改革路線」は弱肉強食の格差社会を拡大させているという批判がある。一方で、持続ある成長のためには競争が必要で、競争のためにはある程度の格差がある方が好ましいと考える日本人が増えているとも言われている。
▼安倍官房長官は「勝ち組、負け組を決して固定化させてはならないし、階級社会をつくっていくことになってもいけない。谷底に落ちるようなことのないセーフティーネットをちゃんと作っていく。みんなが助け合っていくというのが日本の伝統だ。これはしっかり守っていく」と語っている。
▼確かに日本は米国とは違う国。その国に合った、よりよい国作りを願いたい。(西)
(CAPITAL06年2月10日号<第5号>より)

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