▼年明け早々、トルコでも2人が鳥インフルエンザ死亡した。七月にロシアで開かれる主要国(G8)首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で、鳥インフルエンザ拡大防止を主要議題として取り上げることが決まった。
▼アジアで猛威をふるう高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)はロシアや欧州にも拡大しつつある。米国も例外ではない。国を超えた協力策、新ワクチン開発、途上国へのワクチン供給などが論議される見込みだ。
▼12月31日付ワシントンポスト紙が、最近米国でキムチの売り上げが急増していると報道した。本紙も置いているバージニア州フェアファックス市のロッテ・プラザ・インターナショナル・マーケットでは、16オンスのビン詰めキムチが急に売れるようになった。常連の韓国人客は大きいガロン詰めを買うのが普通だ。スーパーHマートでは1袋7.99ドルのキムチの販売量が前年比55%も増えた。米国東部地域にキムチを卸しているニューヨークのキム・チー・プライド社は前年に比べ20%の販売増となったという。どうも一般の米国人が買い求めるようになったらしい。
▼同紙によると、米国でキムチ販売量が増加したのは、ソウル大カン・サウック教授チームが昨年初め、鳥インフルエンザに感染したニワトリ13羽にキムチ抽出液を注射したところ11羽が回復したという研究成果を発表、これがインターネットを通じ米国に広まったためという。
▼その韓国では、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソク)教授による胚性幹細胞(ES細胞)の研究結果がすべて捏造だったことが発覚した。国民のヒーローだった科学者が一転して、処分が検討され、教授を全面的にバックアップしてきた韓国政府も面目丸潰れである。
▼インターネットの普及とグローバル社会の到来で、病気や不確かな情報もあっという間に広がる。少し前の薬害エイズや牛海綿状脳症(BSE)などでもそうだが、専門家しか分からないことが多すぎる現代にあって、科学者は決してどこぞの利害で働いてはならない。病気は恐いが、不確かな情報に振りまわされないようにしたいものだ。個人的にはキムチは好きだが。(西)
(CAPITAL06年1月15日号より)
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