▼クリントン国務長官がインターネット上でも表現の自由、信教の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由が守られるべきであり、そのためにはネットに接続する自由が不可欠と演説した。オバマ政権はツイッターなどの利用に熱心だが、演説はチュニジアやエジプトなど中東政変での経験を踏まえたものだ。
▼中東政変ではネットが大きな役割を果たし「フェイスブック革命」「ツイッター革命」だとの声もある。しかし、それらはあくまでも便利な道具に過ぎなく、ネットで政治革命が起きるわけではない、過大評価すべきではないという声も根強い。
▼とはいえ、エジプト政変で主導的役割を果たした「4月6日運動」は数年前からチェニジア、リビア、アルジェリア、モロッコ、そしてイランの若者たちともフェイスブックで交流をし、デモをどうやって行うなどを熱心に議論していたという。ネットがなければ中東のドミノ的政変はなかったと言える。
▼1月下旬にエジプト政府がフェイスブックなどを遮断した際は、グーグルが電話線を通じての回路を提供、また謎のハッカー集団アノニマスがエジプト政府、内務省、通信・情報技術省のサイトなどに大量のデータを送信し機能を停止させる攻撃を行った。ネットは繋がれた。アノニマスは「言論の自由を脅かす検閲行為には容赦しない」とサイトに宣言を残した。
▼クリントン長官の演説に対し、中国は「ネットの自由を口実に他国の内政干渉はすべきでない」と批判した。米国が外交政策の目標達成のためにネットを活用することが見え見えだからだ。
▼徹底したネットの自由を求めるアノニマスは、ネットの自由を脅かしたり、人権を擁護しない国家や組織に対しては今後も容赦ないサイバー攻撃をすると明言している。アノニマスは英語の巨大掲示板である「4chan」に集まっていたメンバーがもとだといわれているが、ネット社会から生まれた国境なき自由と民主主義の新勢力である。(CAPITAL126号3月5日号より)
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