▼3月11日午後2時46分(日本時間)に発生した東日本大震災。16日時点で、死者は宮城や岩手など12都道県で3771人、行方不明者は岩手や福島など6県で8181人、避難者は55万人を超えている(警察庁まとめ)。余震も続き、首都圏も計画停電、放射線検出などで混乱している。
▼まさに未曾有の大天災となったが、海外では日本人の冷静さやマナーを賞賛する声が相次いだ。中国では、非常事態にもかかわらず、日本人は「冷静で礼儀正しい」「マナーは世界一」「人類で最高の先進性が日本にある」と絶賛する声がネットの書き込みやツイッターなどに寄せられた。ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本は。いかにすれば人間の計画と産業社会が自然災害に対処できるかの証」と論じ、ニューヨーク・タイムズは「奮い立つ日本(大和)魂」と題し、日本が災害復興に全力を尽くしていることを紹介した。
▼海外からの支援が相次いだ。国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「国連は日本の支援に全力を尽くしていく」と声明を発表。オバマ大統領は「米国は可能なあらゆる支援をする準備がある」と述べた。米軍の支援作戦の名称は「TOMODACHI(友達)」。三陸沖に原子力空母ロナルド・レーガンを展開、空軍や海兵隊が自衛隊と共同で捜索活動や救援物資の輸送に当たっている。
▼領土や歴史認識問題など外交面で日本と対立する中国やロシア、韓国でも「日本を救え」という声が広がり、支援物資や救助部隊が到着した。被災地支援の海外からの申し入れは114カ国・地域と24国際機関になった。うち11カ国は援助隊を派遣し被災地で活動中だ。
▼だが、福島第一原発事故をめぐっては、海外からの評価は一気に下がる。東京電力の対応のまずさが危機拡大につながっているとの見方が大勢を占めている。
▼原発の「安全神話」が壊れるのを恐れるあまり、楽観的な発表を繰り返し、対応が後手後手の対応になったのではないか。海外の協力もあおぎ、日本、いや世界の総力をあげてチェルノブイリに次ぐといわれる今回の原発被害拡大を食い止めてほしい。(CAPITAL127号-3月19日号より転載)
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