▼米海兵隊は相手国を襲うための部隊であり、日本を防衛している軍隊ではない。にらみを効かしているといっても、実際、戦争になれば空爆から始まるのはイラクなどをみれば分かる通りだ。北朝鮮の暴発の可能性はあるが、それなら海兵隊は北海道や日本海側に置くべきだろう。訓練も北朝鮮の気候に近いところでやった方がいいに決まっている。では何故、沖縄の普天間に駐留しているのか。端的に言えば、日本がお金(おもいやり予算)を出してくれているからだ。
▼これを後押ししているのがいわゆる「沖縄利権」だ。もともと辺野古へのキャンプ・シュワプ沖の埋め立て計画は米国が希望したものではなく日本側が進めたものだ。96年に橋本政権で日米特別委員会(SACO)で辺野古移転が決まり、基地建設費とは別に10年で1千億円の公共事業が決まる。この配分権は自民党経世会(旧橋本派)が握ったといわれる。
▼しかし地元の反対などで計画は進まなかった。米国は沖縄の海兵隊をヘリ部隊も含め一体としてグアムに移転する計画を模索し始める(06年5月「再編実施のための日米ロードマップ」)。再び辺野古移転を進めていた小泉政権は、米国の長さ45メートルのヘリパッドの要求を、なんと総工費5千億円ともいわれる2本のV字巨大滑走路に拡張する。
▼鳩山首相や小沢幹事長が県外移設にこだわったのは社民党のためというより、この自民党の沖縄利権を白紙に戻したかったからだ。当然、自民党、防衛省(旧防衛庁)、軍需専門商社、建設会社など旧利権派はそろって民主党を攻撃。これには小泉政権に食い込んだ米国の企業、ロビイスト、ネオコンらが含まれており、いたずらな「日米同盟のきしみ」の発信源になっている。
▼基本はやはり民意である。そもそも普天間基地返還が日米で決まったのは、12歳の少女が海兵隊員にレイプされたことに沖縄住民が怒りの声を上げたことからだった。これは民主主義の問題である。利権絡みや怪しげな安全保障論に惑わされていない本当の民意に鳩山首相は耳を傾けることができるだろうか。
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