▼「太った猫の銀行員を助けるために選挙を戦ったわけじゃない」。オバマ米大統領が13日放映のCBSテレビとのインタビューで怒気を含んだ声で語った。太った猫とは俗語で、金持ちを指す。
▼発言は、公的資金による救済を受けた銀行の一部が、幹部らの高額ボー ナスを復活させる動きを見せていることに対してのものだ。
▼ウォール街は株高を背景に業績が回復し、公的資金を返済が進んでいる。半国有化されていた金融大手シティグループが14日、金融危機時に注入を受けた公的資金200億ドルを返済することで米政府と合意、政府は半年から1年後をめどに保有するシティ株をすべて売却、同社は政府管理下から完全に脱する。米銀大手ウェルズ・ファーゴも同日、普通株の新規発行などを通じて資金を調達し、公的資金250億ドルを全額返済すると発表した。
▼これで米大手金融機関上位6社が公的支援から脱することが決まり、金融健全化への取り組みは大きな節目を迎えた。
▼高給復活はこうしたことを背景にしているわけだが、大統領は「米国が数十年に一度の不況を経験し、その原因をつくった人たちが1千万から2千万ドル(約8億9千万〜約17億8千万円)のボーナスを受け取るのか」「ウォール街の人々は、まだ分かっていない」と批判した。
▼さらに「一番頭にくるのは、納税者の助け(公的資金)の恩恵を受けた銀行が、議会で金融規制改革に反対して戦っていることだ」と強調した。金融業界は高い報酬でロイビスを雇い、規制改革を骨抜きにしようと躍起である。
▼米国の失業率は10%に達している。日本同様、米国の雇用の主要な担い手は中小企業である。中小への貸し出しが一向に回復しない現状に対しに、大統領は強いいらだち示した。
▼14日には、ホワイトハウスでウォール街の大手金融機関の首脳を呼び、中小企業向けの融資を拡大するよう要求した。「昨年、米銀は納税者から並々ならぬ支援を受けた。その結果、回復した彼らに、米経済を建て直すため並々ならぬ取り組みを期待している」と大統領。
▼だが、金融機関の首脳らは、貸し出しが増えない原因について、借り手の需要低迷と当局の監督強化にあると訴えた。自分たちに責任はないと言わんばかりだ。
▼納税者から助けてもらっておいて、業績回復すれば、もうその恩は忘れ、自分の懐だけを潤すのがウォール街ということか。(た)
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