Sunday, November 08, 2009

普天間基地問題は先送り

▼沖縄県宜野湾市の中心にある在日米海兵隊普天間基地は2800mの滑走路を持ち市面積の25%を占める。攻撃ヘリなど100機以上が配備され、離着陸訓練により騒音被害で学校の授業中断は日常茶飯事である。かねてより県は返還を強く求めて来た。
▼沖縄は面積で日本の0・6%だが、在日米軍基地の75%が集中。うち75%が海兵隊の基地で、師団規模での駐留は米本国以外では日本のみである。
▼1995年、海兵隊の兵士3名が12歳の女子小学生を拉致、集団レイプする事件が起き、県民の怒りが爆発。日米で在沖縄米軍を全面的に見直すことになり96年、代替施設を条件に普天間基地の全面返還が決まった。名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部が移設先とされたが、名護市の住民投票で反対が過半数を占めるなど反対運動が続いている。当地はジュゴンの北限生息地で環境破壊との声がある。
▼県外、国外移設の方針を主張してきた民主党が政権を取ったため、ゲーツ米国防長官が10月に来日し「普天間の代替施設なしに米海兵隊のグアム移転はない」「グアム移転なしに、沖縄で兵員の縮小と土地の返還もない」とあくまで日米合意の履行を要求。その後、岡田外相は米軍嘉手納基地との統合案を出したが、米国防総省のモレル報道官は「日本の防衛に必要なもの(軍事力)を提供できない」として実現可能性を重ねて否定。空軍戦闘機による騒音被害に苦しむ周辺自治体は「いかなる条件でも断固反対」(宮城篤実嘉手納町長)との姿勢だ。
▼10月31日と11月1日に沖縄県民を対象に行われた毎日新聞と琉球新報による世論調査では反対が67%、賛成20%で、鳩山首相は「県外か国外への移設を目指して米国と交渉すべきだ」が70%を占めた。
▼仲井沖縄県知事は「政府方針の早急な提示」を要求。だが、鳩山首相は2日、この問題について「(12日の)オバマ米大統領の来日までに決めなければならないとは思っていない」と述べ、先送りした。(た)

No comments: