▼鮮烈国連デビューと言っていいだろう。鳩山首相が国連気候変動首脳会合で22日、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると表明、途上国への資金や省エネ技術の積極的供与を明示した「鳩山イニシアチブ」も提唱した。
▼数値に関しては実現をいぶかる向きもあるが、鳩山首相は戦後初の「理系」出身の首相である。「(日本)国民、企業の能力の高さを信頼している。産業革命以来続いた社会構造を転換し、持続可能な社会をつくることこそが、次の世代に対する責務だ」と訴えた。
▼たどたどしさはあるものの明瞭な発音の英語で演説する鳩山首相に、日本が初めて世界をリードする姿を感じた人も多いのではないだろうか。
▼ロシアはじめEUや途上国などの各国首脳から高い評価を受けたにも関わらず、米国の大手メディアがあまり大きく取り上げなかったところに、温暖化問題への取り組みにおいてリーダーとなれない米国の微妙な立場を表しているようだ。
▼24日には国連安全保障理事会が、米国が提出した「核兵器のない世界」に向けた取り組みをうたった決議案を全会一致で採択した。
▼「核兵器のない世界」は日本が一貫して主張してきたことである。鳩山首相は「広島、長崎を訪れて核兵器の悲惨さを心に刻んで欲しい」と世界の指導者に呼び掛けた。北朝鮮の核問題に直面しながらも、唯一の被爆国として核軍拡競争には加わらない立場を鮮明にし非核三原則の堅持を表明した。
▼世界はオバマ米大統領が掲げた理想の実現へ向け踏み出した。今こそ日本は米国と共に、率先して「核兵器のない世界」実現に向け積極的に取り組む時だ。
▼すべての分野でリードする必要はない。日本が温暖化や核廃絶などでリードすることが「国際貢献」となる。(た)
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