▼クリントン元大統領の電撃訪朝による米国人女性記者2人釈放は、「北朝鮮がプロパガンダで勝利」(ジョン・ボルトン元国連大使)、「北朝鮮が国際社会に受け入れられたと発信できるようになる」(キッシンジャー元国務長官)などの批判はあるものの、米国民の多くはおおむね納得しているようだ。
▼米政府としては、あくまで私人での行動と区別を強調しつつ、裏では細かい指示をしており、金正日総書記の健康状態や後継者問題などの情報を得たようだ。建前より実を取ったということか。
▼こうした柔軟なアプローチも駆使する米国に対し、日本はどうか。「北朝鮮ペースになる」という批判もあるが、拉致被害者の家族たちからは「私人でもいいから北朝鮮と交渉してほしい」(横田滋さん)、「うらやましい」(市川健一さん)といった声があがった。
▼今月30日に行われる総選挙で与党になるのはほぼ確実の民主党は、外交において現実路線を取り始めている。これまでの主張通りインド洋で給油活動に当たる海上自衛隊を来年1月で撤退させるが、代わりにアフガニスタン本土での民生、復興支援を強化。また、①在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)削減②日米地位協定改定③米軍普天間飛行場の県外移転の3つの方針ついても、直ちに交渉入りは求めないことに決めた。
▼米国との「信頼関係の構築を優先」(鳩山氏)し、さらに「現実路線」へ踏み出したわけだ。では現実路線とは一体何か。それは自民党が作って来た対米従属という日米同盟のことではないのか。
▼今年も8月15日の終戦記念日を迎えた。日米が戦争を終えて64年目となる。世界は変わった。米国も変わろうとしている中、日米同盟の中身も変わるべき時が来ているのではないだろうか。
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