Wednesday, July 01, 2009

世紀のスーパースターの死

▼マイケル・ジャクソンが急死した。享年50歳。ジャクソン・ファイブのボーカルとして11歳でデビューし、全世界で7億5千万枚のレコード・CDを売った稀代の歌手である。マドンナやエリザベス・テイラーら歌手、俳優だけでなくサルコジ仏大統領や金大中元韓国大統領まで、世界中が彼の死を惜しんだ。
▼米下院本会議では黒人議員団が呼び掛け、黙とうが捧げられた。だが同じ黒人でもあるにも拘わらずオバマ大統領の反応は鈍かった。大統領は遺族に哀悼の手紙を送ったが、ホワイトハウスは大統領名での追悼声明も出さなかった。
▼ギブズ米大統領報道官によれば、大統領が「すばらしい歌手だった」と讃える一方、スキャンダルに見舞われるなど「哀れで悲劇的な側面も」あったと評していたという。少年への性的虐待疑惑や奇行で知られたマイケルから距離を取ったと見られる。
▼クレーン作業員だった父ジョセフ・ジャクソンが貧困から抜け出すために子どもたちを音楽をやらせ成功させた。一方で、子どもへの虐待もあったとされる。マイケルは11歳での成功後、声変わりとやたら伸びた身長、ひどいニキビで可愛くなくなったことでひどく悩んだ時期があるという。しかしその後、ソングライティングと人間離れしたダンスをものにし、空前の世界的大成功を収め、克服したかに見えた。
▼だが、自身に対する醜悪恐怖に悩み、鼻のケガをきっかけに整形を続け、皮膚の病気のためとされているが肌を白くした。あり余る名声と富の一方で、数々の醜聞、膨大な借金、千件を超える訴訟を起こされた。最後は拒食症だったという報道もある。
▼彼ほどユニバーサルな人間はいないだろう。黒人なのか白人なのか、男女の区別すら超えた印象のマイケルは国、人種問わず世界中の老若男女に愛されたが、自分を愛することは出来なかったのだろうか。7月の復帰を目前にして心と体に傷を負ったまま世紀のスータースターが逝った。

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