▼オバマ米大統領が5日、チェコの首都プラハで、国家の安全保障に占める核兵器の役割を減らし、「核兵器のない世界に向けた具体的な措置を取る」と宣言、他の核保有国にも同調を求めた。
▼大統領は「核兵器を使った世界で唯一の核大国」として「道義的責任がある」と言明、広島、長崎と具体的には述べなかったものの、これまでの米国からすれば画期的な演説だった。
▼日本やドイツは歓迎する意向を表明。日本にとっては、唯一の被爆国として全面的核廃絶を求める国連決議を毎年提案する一方で、米国の「核の傘」に守られるという建前と本音の矛盾が解消することになる。
▼だが核保有国の反応は鈍く、フランスは「核抑止力に関する政策は仏の主権の範囲」(サルコジ大統領)とし、内部文書によれば「米の海外でのイメージアップ戦略に過ぎない」と切り捨てている。
▼ロシアや中国は公式見解を出していないが、ロシアの軍事評論家のパーベル・フェリゲンガウエル氏は「プロパガンダ的な演説」で「通常兵器の近代化が遅れるロシアにとって軍事大国の地位を維持するためにも核兵器の放棄は受け入れられない。一言で言えば不快」、中国共産党機関紙「人民日報」が発行する「環球時報」は「激情演説『これぞ空想』と評論家」との見出しで報じた。
▼2年前、ニクソン、フォード政権のキッシンジャー元国務長官、レーガン政権のシュルツ元国務長官、クリントン政権のペリー元国防長官、ナン元上院軍事委員長が4人連名で「核兵器のない世界」の実現を呼びかけた。“冷戦の戦士たち”は冷戦末期に一度は米ソ首脳は核廃絶で一致したが保有国の反対で流れたこと、現在は保有国が増え、核拡散、テロリストに渡る可能性の高さなどから「偶発的核戦争」勃発の可能性は冷戦期以上に高いため、米国が先頭となって核をなくすべきと提言していた。
▼イランや北朝鮮の核開発問題も国際社会が一致して核廃絶に向かえば、自ずと解決へ向かうだろう。「プロパガンダ」で終わらせないで欲しいものだ。
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