▼オーストラリアで昨年末にスロットマシンに記録的な金額がつぎ込まれたことがこのほど判明した。同国政府は景気刺激策としてクリスマス前に年金受給者や低所得家庭など一時給付金を配ったが、カジノを潤しただけという批判が巻き起こった。
▼支給したのは1人当たり1000〜1400豪ドル(約6万〜8万3千円)。日本では一人1万2千円の定額給付金が決まったものの、どの程度経済効果があるのか疑問視されている。
▼もっと大規模にお金をばらまかねば景気浮揚策にはならないという声は強い。だが、財源はどうするのか。これ以上赤字国債を増やすわけにはいかない。
▼そこで注目を浴びているのが「政府紙幣」だ。硬貨は政府が発行しているが高額紙幣は日銀が発行している。これを政府が日銀とは別に景気対策の財源としての政府紙幣を発行しようというわけだ。
▼日銀の通貨供給では、例えば国債を購入する代金として日銀券を発行すると購入した国債の金利は、経費差し引いて最終的に政府に納付金として納められる。これが通貨発行益だ。しかし政府紙幣の場合は、発行額を政府の負債とする必要がないから、発行経費を差し引いた全額が政府の発行益となる。それを景気対策に活用しようというわけだ。
▼国債を発行せずに財政を賄えて資金供給量を増やせるというまさに「打ち出の小槌」。発行しすぎればハイパーインフレを起こす可能性があるが、デフレスパイラルに陥っている今の日本に心配は無用、むしろ需給ギャップを埋めることが求められていると、提唱者の一人、元財務官僚の高橋洋一東洋大教授(財政学)はその額、25兆円発行を提言している。
▼10年以上前から経済学者の丹羽春喜氏が提言し、ノーベル賞受賞の米経済学者スティグリッツ・コロンビア大教授も勧めているいる政府紙幣発行だが、政府は「取るに足らない話だ」(与謝野馨経済財政担当相)と応じる気配はない。
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