Sunday, October 19, 2008

金融資本主義の終焉か 

▼東京証券取引所一部の株式時価総額は、3日から10日までの一週間で約66兆円が消えた。欧米やアジア、新興国の株価も軒並み大幅下落、実体経済を脅かし、世界同時不況の様相が鮮明になった。
▼この1年で世界各地の株式市場で消えたお金は時価総額にしておよそ21兆ドル(2200兆円)以上。07年の世界全体のGDP(国内総生産)約54兆ドル(約5800兆円)の40%に匹敵する。一日1ドル以下で生活している10億人も入れた世界人口66億人で割ると、一人当たり約3300ドル(約35万円)を失ったことになる。
▼米国は金融安定化策による7千億ドル(約75兆円)の公的資金負担を決めた。米国一人当たり2300ドル、一世帯当たり6千ドルの税負担になるが、救済される米大手企業500社のCEO(最高経営責任者)の平均報酬は07年だけでも1280万ドル(約13億7千万円)、金融危機のきっかけをつくった米証券大手5社の経営者の過去5年間の報酬は計30億ドル(約3200億円)だ。
▼映画監督のマイケル・ムーア氏によれば、米富裕層上位400人の資産が、1億5千万人分の資産の半分に相当しており、救済経費は富裕者に負担させろと主張している。
▼米国がモノ作りを捨て、金融を国家戦略とした80年代以降、ドルの印刷機はフル回転し、過剰流動性が世界中で定着した。各国に一時の繁栄をもたらしたもののバブルはすべて崩壊した。
▼現在、世界の株式市場の規模は約7200兆円、債券市場が約5500兆円、そしてデリバティブの総額は約5京円である。実体経済(GDP)の10倍、決済に必要な金額の100倍ものお金が動いている。
▼お金はしばしば血液にたとえられる。血液の流れがよければ経済活動は活発になる。しかし体(実体経済)あっての血液(お金)なのだ。私たちは実体経済無視どころか、それを破壊する金融資本主義(=マネーゲーム)の終焉に立ち会っているのかも知れない。

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