▼民主党大統領候補指名争いでオバマ上院議員の人気が止まらない。二十七日のサウスカロライナ州予備選挙で55%の支持で圧勝、ヒラリー上院議員とビル・クリントン前大統領夫妻の「黒人候補烙印(らくいん)」戦略は裏目に出たようだ。
▼二十八日には一九九三年にノーベル文学賞を受賞した米国の黒人女性作家、トニ・モリスンさんがオバマ上院議員への支持を表明。モリスンさんは白人のビル・クリントン前大統領を「黒人より黒人的」「米国初の黒人大統領」と評したことで知られるが、今回はオバマ氏支持に回った。
▼モリスンさんは「あなたは他の候補にないものを示してくれている。それは年齢や経験、人種や性別とまったく関係ない独創的な構想力だ」とオバマ氏を評価、新しいアメリカを創造する人物への期待感を述べている。
▼オバマ氏から連想されるのは故ケネディ大統領であろう。故ケネディ大統領の実弟で民主党の有力者のエドワード・ケネディ上院議員はオバマ氏を支持と表明、NBCテレビは「大統領選の転換点になる可能性がある」と報じた。まさに「第二のケネディ」への期待がかかる。
▼しかし、黒人には圧倒的な支持のあるオバマ氏だが白人票の取り込みはヒラリー氏に遅れを取っている。ヒラリー氏と拮抗する中、キャスティング・ボートはヒスパニック票にあるとの指摘は多い。
▼二十二州で一斉に党員集会と予備選挙が行われる二月五日のスーパーチューズデーでは、四百四十一人と最多の代議員数を持つカリフォルニア州のヒスパニックの割合は36%、代議員数二百八十一人のニューヨーク、百八十五人のイリノイ州はともにヒスパニックが15%を占める。
▼ヒラリー、オバマ両候補の拮抗ぶりからスーパーチューズデーでも決まらないのではという分析が優勢になってきた。オバマ候補の登場で、これまでの予備選のゲーム理論が変わったようだ。(武)
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