Thursday, February 28, 2008

27年目の「共謀罪」

▼1981年にロサンゼルスで起きた銃撃事件で、殺人容疑などで元会社社長、三浦和義容疑者(60)がサイパン島で逮捕された。
▼三浦被告は銃撃事件で日本で起訴され、1審東京地裁は氏名不詳の実行犯との共謀を認めて有罪にしたが、2審は「共犯者は全く解明されていない。三浦被告には共犯者を見つけ、謀議を完了する機会がなく、謀議の痕跡がなく、共犯者に報酬を支払った事実が全くない」として逆転無罪、最高裁で確定した。
▼米国の法律では殺人罪に時効はなく、ロサンゼルス市警は米検察当局と相談した結果、同じ事件で再び罪に問われることがない「一事不再理」には抵触しないと判断。過去に前例もあるという。
▼ロス市警は2、3年前から本格的な捜査に着手していた。きっと新しい証拠でもあるだろうと思いきや、市警は「ノーコメント」。
▼逮捕状によれば、容疑第1項は妻一美さん(当時28)殺害の実行、第2項は共謀罪で、殺害に先立つ「殴打事件」から銃撃に至る一連の殺害計画を共謀した「共謀罪」だという。
▼ロス市警は、日本の検察も三浦元社長を起訴する段階で十分な証拠があったはずだとし、日本に共謀罪がないことが無罪判決につながったとの認識を示した。
▼藤本哲也中央大法学部教授(犯罪学)によれば、カリフォルニア州法では、犯罪の謀議が行われ、さらに犯罪の実行に資する何らかの行為が伴えば、実際に犯罪が行われなくても共謀罪が成り立つ、「何らかの行為」には犯行現場の下見や凶器を渡したりすることなどが該当するという。
▼ロス市警は新しい証拠ではなく既存証拠だけで共謀罪を成立させるつもりなのか? 日本で無罪とされた三浦容疑者は米国で有罪となるのか。日本でも論議されている共謀罪について考える機会ともなりそうである。

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