▼依然としてサブプライムローン問題に端を発する金融不安が続き、不況突入の懸念が消えない。米連邦準備制度理事会(FRB)は二十日、〇八年の米実質成長率は前年比1・8〜2・5%と予想、七月に発表した2・5〜2・75%との予想を大幅に下方修正した。
▼クリスマス商戦は年間消費の二割を占める。消費の行方を占うクリスマス商戦の幕開けである感謝祭翌日の通称「ブラックフライデー」は問題になることなく過ぎた。だがこれはウォルマートや大手電気店などが今年は特別にクリスマスセールを前倒し、11月初めから開始したために過ぎない。
▼なにより、当初一千億ドルと言われたサブプライムの関連損失が実は一兆ドルではないかとも囁かれているのだ。リーマン・ブラザース、シティグループ、メリルリンチなどの本決算がこれから控えている。八七年の株価暴落、ブラックマンデーの再来もないとは言い切れない。
▼利下げはもうないと言われていたが、年内にもう一段の利下げをしないと不況に突入するという声もある。だが利下げによるドルの下落は信用不安となり、中東諸国などのドルペッグの見直しにつながりかねない。基軸通貨としてのドルの地位をなくす可能性すらある。
▼米シンクタンク「トレンド・リサーチ・インスティテュート」のジェラルド・セレンテ所長は、ドルの価値は十分の1まで下がり、金相場が1オンス二千ドルにまで高騰するかもしれない」という予測までしている。
▼英オブザーバー紙のコラムリスト、ウィル・ハットン氏によれば、現下の金融危機は三十年に一度の大規模なもので、市場原理を重視する英米中心の自由主義経済の時代は終焉を迎えるだろうとのことである。(CAPITAL#48号より転載)
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