▼日本人はいつからこんなに嘘つきになってしまったのだろう。「偽装」が止まらない。牛肉、シジミ、地鶏、タケノコ、そうめん、ファストフード、和菓子などなど。産地偽装や消費期限改ざんなど食品の不正発覚が止まるところを知らない。
▼特に赤福(三重)や船場吉兆の菓子店(福岡)などの製造日偽装や賞味期限改ざんは、伝統と信頼を誇る老舗や高級店だっただけに与えたショックは大きい。「もったいない」という話ではない。船場吉兆はもちろん、秋田の比内鶏(ひないどり)の偽装は、食文化への裏切り行為である。
▼なぜこれほどまでに偽装が立て続けに発覚しているのかといえば、それは内部告発なのだという。今年一月の不二家の期限切れ原料使用の報道後、さらに六月のミートホープ(北海道)の牛肉偽装発覚後、内部告発が急増したという。八月の石屋製菓(北海道)の「白い恋人」の賞味期限改ざんも保健所への内部告発がきっかけだ。
▼だが、赤福は昨年から内部告発があったにもかかわらず、三重県の二度の立ち入り検査でも不正を確認できなかった。老舗や大手食品会社と監督する行政側とのなれ合いを疑われても仕方ないだろう。
▼偽装は食品衛生法違反や不正競争防止法違反(虚偽表示)という立派な犯罪である。社長の逮捕や営業停止に追い込まれた会社も出ており、結局は自らの首を締めるだけだ。
▼昨年はマンション耐震強度偽装が世間を騒がせたが、今年は食品の偽装だ。日本経済の「失われた十五年」という停滞の中、リストラや格差拡大だけでなく、利益第一主義によるモラル崩壊が起きていたわけである。
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