Friday, May 12, 2006

第三次世界大戦か第二の冷戦か

▼映画も公開中だが、9・11テロの時、乗っ取られたユナイテッド航空93便の機内で乗客がテロ犯と格闘したのをブッシュ大統領は「第三次世界大戦での最初の反撃だった」と語った。
▼テロとの戦いは「第三次世界大戦」というわけだが、本当にアルカイダ相手に世界大戦と言えるようなことなのだろうか?
▼冷戦はとうの昔に終わったはずだが、チェイニー副大統領がロシアのプーチン政権下の民主化後退を批判、ロシアのメディアは「第二の冷戦の始まり」と報じた。
▼副大統領は「反ロシア」の急先鋒(せんぽう)であるグルジアのサーカシビリ、ウクライナのユーシェンコ両大統領を「現代の英雄」と称賛。ロシアは民主的改革路線に戻るか、欧米の「敵」になるか「岐路に立っている」と警告したのだ。タカ派の副大統領から見れば、もうアルカイダでは役不足らしい。
▼お膝下の中南米では、キューバのカストロ国家評議会議長とベネズエラのチャベス、ボリビアのモラレス両大統領が、ベネズエラによる石油支援を柱に、左派政権の三国が広範な分野で相互協力を強化する協定を締結した。南米は資源ナショナリズムを通じ、反米の社会主義が進行しているといえる。
▼そして中国は依然として共産党独裁の社会主義国である。将来GNPで米国を抜けば、世界最大の国家は社会主義国となる。資本主義は社会主義に勝利したのではなかったのか。
▼米国は冷戦に勝利したというが、実際はソ連が勝手に自滅したという方が的を得ている。いずれにせよ、社会主義はそう簡単にはなくならないようだ。
(CAPITAL5月15日号より転載)

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