▼日本では、不祥事があったりすると何かにつけ責任者が辞任する。辞任すれば済むのかというくらい簡単に辞任することが多い。辞任しないとでも言おうものなら、権力にしがみつく醜悪な姿と映るのが常だ。
▼ところがこちらでは、強い辞任要求が出ても辞任しないくていいらしい。言うまでもなく、ラムズフェルド米国防長官のことである。
▼テレビに出演し口火を切ったのはジニ元中央軍司令官。米統合参謀本部の作戦部長を務めニューボールド元海兵隊中将はイラク戦争は「不必要だった」と断言し、イラク戦争はアルカイダから目をそらす結果を招いたと指摘して国防長官らの交代を要求するなど、少なくとも6人の退役将軍が明確に長官の辞任を求めた。
▼しかしラムズフェルド長官は「私は大統領のために仕事をしている」と述べ、辞任する考えがないことを表明。ブッシュ大統領は「私が決定者だ。何がベストかといえばラムズフェルド氏が長官にとどまることだ」とあらためて支持を確認した。
▼ブッシュ大統領は十一月の中間選挙を前にホワイトハウスのスタッフ刷新を断行したものの、二十四日発表のCNNの世論調査結果によると大統領の支持率は前月より4ポイント低い32%で過去最低を更新(不支持率は60%)、歴代大統領の最低水準である20%台が目前に迫る危機的状況となった。
▼戦争など国民の目を外に向けることによって国内の不人気を払拭する手法は、政治の常套手段である。強硬派のラムズフェルド長官を残し、中間選挙に勝つために対イラン戦争を断行といったことにならないように願いたいものだ。
(CAPITAL5月1日号より転載)
No comments:
Post a Comment