Friday, January 27, 2006

ホリエモンと「光クラブ事件」

▼ホリエモンこと堀江貴文ライブドア社長が逮捕された。容疑は証券取引法違反などだが、「ライブドア」ショックは海外市場にまで及び、逮捕は海外メディアも取り上げた。
▼昨年のニッポン放送株買収劇では、「人の心は金で買える」などと言い放つ堀江氏をどう見るかで、新しい日本人か古い日本人かが分かるとまで言われた。賛否両論のホリエモン。小泉首相すら見境もなく改革のシンボルとして衆院選出馬を促した。ホリエモンというキャラクター自体、高株価を狙った計算づくの演出だったのか。
▼堀江氏は日本のビル・ゲーツという声があった。超一流大学を中退し会社を起こし、他社に嫌われながらも、あらゆる手を使い短期間に巨大企業にしていったところは確かに似ている。
▼しかし、一方で「光クラブ事件」の山崎晃嗣を連想させるという声もあった。まだ戦後の混乱が続く昭和二十三年、山崎は東大在学中に高利貸しの闇金融「光クラブ」を設立する。既成の価値観にとらわれない徹底した合理主義者の山崎は短期間で大成功を収めるが、物価統制法と銀行法違反の疑いで逮捕される。堀江氏も同様の道を辿っている。
▼「光クラブ事件」は債務返済に行き詰まった山崎が青酸カリ自殺をして終わる。まさか堀江氏はそんなことにはならないとは思うが、ライブドア関係者が一人、すでに自殺した。
▼これは日本版エンロン事件である。ルールなき市場経済は社会自体を壊していく。ルールの隙をついたつもりで会社を急成長させてきた堀江氏だが、今度は市場のルールに裁かれる。  (西)
(CAPITAL06年2月1日号より)

Friday, January 13, 2006

キムチと鳥インフルエンザ

▼年明け早々、トルコでも2人が鳥インフルエンザ死亡した。七月にロシアで開かれる主要国(G8)首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で、鳥インフルエンザ拡大防止を主要議題として取り上げることが決まった。
▼アジアで猛威をふるう高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)はロシアや欧州にも拡大しつつある。米国も例外ではない。国を超えた協力策、新ワクチン開発、途上国へのワクチン供給などが論議される見込みだ。
▼12月31日付ワシントンポスト紙が、最近米国でキムチの売り上げが急増していると報道した。本紙も置いているバージニア州フェアファックス市のロッテ・プラザ・インターナショナル・マーケットでは、16オンスのビン詰めキムチが急に売れるようになった。常連の韓国人客は大きいガロン詰めを買うのが普通だ。スーパーHマートでは1袋7.99ドルのキムチの販売量が前年比55%も増えた。米国東部地域にキムチを卸しているニューヨークのキム・チー・プライド社は前年に比べ20%の販売増となったという。どうも一般の米国人が買い求めるようになったらしい。
▼同紙によると、米国でキムチ販売量が増加したのは、ソウル大カン・サウック教授チームが昨年初め、鳥インフルエンザに感染したニワトリ13羽にキムチ抽出液を注射したところ11羽が回復したという研究成果を発表、これがインターネットを通じ米国に広まったためという。
▼その韓国では、ソウル大・黄禹錫(ファン・ウソク)教授による胚性幹細胞(ES細胞)の研究結果がすべて捏造だったことが発覚した。国民のヒーローだった科学者が一転して、処分が検討され、教授を全面的にバックアップしてきた韓国政府も面目丸潰れである。
▼インターネットの普及とグローバル社会の到来で、病気や不確かな情報もあっという間に広がる。少し前の薬害エイズや牛海綿状脳症(BSE)などでもそうだが、専門家しか分からないことが多すぎる現代にあって、科学者は決してどこぞの利害で働いてはならない。病気は恐いが、不確かな情報に振りまわされないようにしたいものだ。個人的にはキムチは好きだが。(西)
(CAPITAL06年1月15日号より)

Sunday, January 01, 2006

犬と人間

▼今年は戌年。戌(犬)と人間とは3万年来のつき合いがあるといわれ、野生のオオカミが家畜化されたのだという。オオカミの持つ外敵に対する警戒心、獲物を捜す能力などから、人間が狩猟生活をしていた時代から番犬、猟犬として重宝されてきたらしい。
▼日本では縄文時代、犬が人間と同じように埋葬されている。縄文人は犬をとても大事にしたらしい。それが変わるのは弥生時代。日本では犬を食べた時代もあった。
▼現在は犬の特性を生かし、警察犬や盲導犬、介助犬や災害救助犬など各方面で大活躍している。一般家庭では主にペットとして飼われ大変な人気だ。高齢者や心を閉ざす人にセラピードッグも注目されている。
▼犬はたいへん人間になつくが、実はこれはオオカミだった時の群れの本能に基づくもので、人間に服従し、慕うようになるのは人間を群れのリーダーとして認めるからだという。
▼付き合い方を間違えると犬は自分をリーダーと、人間を群れの一員とみなし、立場が逆転してしまう。いわゆる権勢症候群(アルファシンドローム)だ。
▼服従心を忘れた犬はやがて飼い主への愛情もなくす。犬には誠意をもってしつけ、愛情を注ぐことが共生する幸せになるようだ。    (に)
(CAPITAL06年1月1日号<第2号>より)