Wednesday, July 15, 2009

政権交代のカウントダウンが始まった

▼12日投開票された東京都議選で、民主党が20増の54議席を獲得し第1党に躍進、自民党は過去最低に並ぶ10減の38議席と激減、23議席を維持した公明党と合わせても61議席と過半数を割り込んだ。
▼投票率は前回の43・99%から54・49%とアップした。民主党は名古屋、さいたま、千葉の各市長選、静岡県知事選の地方選4連勝に続き、首都決戦で勝利した。
▼国民の多数が政権交代を望んでいることは明らかだろう。「蟹工船」ブームで党員も増えたという共産党が13議席から8議席に後退したことからも逆に窺える。民主党の小沢元代表や鳩山代表の政治資金問題をつつくより、国民が求めているのは政権交代による現実的な変革だ。
▼衆院選出馬要請をした東国原宮崎県知事に「次期総裁候補として衆院選を戦う」と言われ、自民党もそこまで落ちたかと失笑を買った古賀自民党選対委員長は一連の敗北の責任を取って辞任を表明した。
▼ワシントン・ポスト紙は、麻生首相が「奇跡でも起こさない限り日本の選挙民は自民党を下野させる」と書いた。ニューヨーク・タイムズ紙は、自民党は「時代の変化に適応できなくなっている」と書いた。
▼民主、共産、社民、国民新、新党日本の野党5党が提出した麻生首相に対する問責決議が14日の参院本会議で賛成多数で可決され、野党は衆参両院で全面的な審議拒否に入り、解散を待たずに国会は閉会状態となった。公明党の意向を受けた麻生首相は21日の週に衆院を解散、衆院選を8月18日公示、30日投開票とする日程を表明した。
▼「日本は戦後最大の政変に向かっている」と報じたのは英タイムズ紙。与野党は事実上の選挙戦に突入、歴史的政権交代のカウントダウンが始まった。

Wednesday, July 01, 2009

世紀のスーパースターの死

▼マイケル・ジャクソンが急死した。享年50歳。ジャクソン・ファイブのボーカルとして11歳でデビューし、全世界で7億5千万枚のレコード・CDを売った稀代の歌手である。マドンナやエリザベス・テイラーら歌手、俳優だけでなくサルコジ仏大統領や金大中元韓国大統領まで、世界中が彼の死を惜しんだ。
▼米下院本会議では黒人議員団が呼び掛け、黙とうが捧げられた。だが同じ黒人でもあるにも拘わらずオバマ大統領の反応は鈍かった。大統領は遺族に哀悼の手紙を送ったが、ホワイトハウスは大統領名での追悼声明も出さなかった。
▼ギブズ米大統領報道官によれば、大統領が「すばらしい歌手だった」と讃える一方、スキャンダルに見舞われるなど「哀れで悲劇的な側面も」あったと評していたという。少年への性的虐待疑惑や奇行で知られたマイケルから距離を取ったと見られる。
▼クレーン作業員だった父ジョセフ・ジャクソンが貧困から抜け出すために子どもたちを音楽をやらせ成功させた。一方で、子どもへの虐待もあったとされる。マイケルは11歳での成功後、声変わりとやたら伸びた身長、ひどいニキビで可愛くなくなったことでひどく悩んだ時期があるという。しかしその後、ソングライティングと人間離れしたダンスをものにし、空前の世界的大成功を収め、克服したかに見えた。
▼だが、自身に対する醜悪恐怖に悩み、鼻のケガをきっかけに整形を続け、皮膚の病気のためとされているが肌を白くした。あり余る名声と富の一方で、数々の醜聞、膨大な借金、千件を超える訴訟を起こされた。最後は拒食症だったという報道もある。
▼彼ほどユニバーサルな人間はいないだろう。黒人なのか白人なのか、男女の区別すら超えた印象のマイケルは国、人種問わず世界中の老若男女に愛されたが、自分を愛することは出来なかったのだろうか。7月の復帰を目前にして心と体に傷を負ったまま世紀のスータースターが逝った。