▼鳩山首相が辞任した。政権交代を成し遂げた後の初の歴史的内閣だったが、細川政権とほぼ8か月しかもたなかった。鳩山首相は「身を引くことが国益につながると判断」したという。
▼首相は米軍普天間基地移設問題で「最低でも県外」と事実上の首相公約を反古にした。これにより社民党が連立離脱、3党連立政権は崩れた。「社民党を連立政権離脱に追い込んだ責任を取らないといけない」(首相)のは当然だ。
▼もちろん首相はこの普天間問題を辞任理由としているが、やや奇異に映るのはもうひとつの辞任理由の「政治とカネ」である。小沢幹事長にも辞めてもらう「手柄話」のようになっているが、自身の母親からの巨額資金提供の問題は一応の決着がついており、小沢幹事長は検察がおよそ1年にわたり調べ上げた上で不起訴としている。
▼首相が辞任するなら幹事長はもちろん執行部解散は当然だろう。内閣は総辞職するのである。選挙を前に、国民の間にくすぶる「政治とカネ」問題の幕引きを図ったということだろうか。
▼やり残したこととして、日ロ関係の進展をあげたが、これは普天間問題で米国との距離を取ろうとしたからであり、続投しても北方領土問題が前進したか疑問である。
▼一方で「国が上で、地域が下にあるなんて社会はおかしい」と訴え、「中央集権の世の中」の変えることに「少なくとも風穴が開いた」と、政権の意義も述べている。しかし政治は結果責任、あの不人気では、議員内閣制のもと辞任は当然の成り行きである。市場は好感し株価は上がった。政権交代第二幕が上がる。
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