Monday, June 14, 2010

「反小沢左翼政権」か「選挙管理内閣」か

▼まさに絵に描いたような民主党のV字回復である。共同通信が菅内閣発足を受け8日〜9日にかけて実施した全国緊急電話世論調査で、内閣支持率は61・5%に上った。鳩山政権末期の5月末調査の19・1%から一気に回復し、昨年9月の鳩山政権発足時の70%超に迫った。12〜13両日実施の全国電話世論調査(第1回トレンド調査)でも菅内閣の支持率は64・8%に上り、郵政改革法案の扱いをめぐり国民新党代表の亀井静香前金融・郵政改革担当相が辞任した影響は見られなかった。
▼まるで誰かがシナリオを書いたかのような展開である。普天間基地問題と「政治と金」で追い込まれた鳩山首相と小沢幹事長の満を期してのダブル辞任だったとしか言いようがない。自民党は低迷のまま、新党もかすんでしまった感がある。
▼菅内閣は、普天間基地の辺野古移転推進派とされる岡田外相、前原国土交通相、北沢防衛相など鳩山内閣から半分以上の11人が留任。 「反小沢クーデター」という声もあるほど、党の人事含め、いわゆる「反小沢派」が占めた。特徴としては、菅首相を筆頭に、政治家や官僚などの家系ではない普通のサラリーマン家庭出身者が多いことがあげられる。
▼自民党の安倍、麻生両元首相からは「左翼政権」と批判されている。確かに菅首相は市民運動出身だし、仙谷官房長官が元東大全共闘だったことなどは有名だが、世代的なものであって現実に今、何をやるかだろう。
▼では「反小沢左翼政権」のその中身は何なのだろう? まさか「クリーン」だけではあるまい。財政再建と景気刺激を両立させようのは分かるが、郵政改革法案の先送り、子ども手当の満額断念、消費税増税の動きなど、辺野古移転推進を加えて、なにやら自民党に回帰したようなところがある。
▼菅内閣は参院選のための単なる選挙管理内閣(田中真紀子議員)という見方もある。いずれにせよ9月の民主党の代表選が終わるまでは安定政権にはならないようだ。(た)

Saturday, June 05, 2010

鳩山首相が辞任

▼鳩山首相が辞任した。政権交代を成し遂げた後の初の歴史的内閣だったが、細川政権とほぼ8か月しかもたなかった。鳩山首相は「身を引くことが国益につながると判断」したという。
▼首相は米軍普天間基地移設問題で「最低でも県外」と事実上の首相公約を反古にした。これにより社民党が連立離脱、3党連立政権は崩れた。「社民党を連立政権離脱に追い込んだ責任を取らないといけない」(首相)のは当然だ。
▼もちろん首相はこの普天間問題を辞任理由としているが、やや奇異に映るのはもうひとつの辞任理由の「政治とカネ」である。小沢幹事長にも辞めてもらう「手柄話」のようになっているが、自身の母親からの巨額資金提供の問題は一応の決着がついており、小沢幹事長は検察がおよそ1年にわたり調べ上げた上で不起訴としている。
▼首相が辞任するなら幹事長はもちろん執行部解散は当然だろう。内閣は総辞職するのである。選挙を前に、国民の間にくすぶる「政治とカネ」問題の幕引きを図ったということだろうか。
▼やり残したこととして、日ロ関係の進展をあげたが、これは普天間問題で米国との距離を取ろうとしたからであり、続投しても北方領土問題が前進したか疑問である。
▼一方で「国が上で、地域が下にあるなんて社会はおかしい」と訴え、「中央集権の世の中」の変えることに「少なくとも風穴が開いた」と、政権の意義も述べている。しかし政治は結果責任、あの不人気では、議員内閣制のもと辞任は当然の成り行きである。市場は好感し株価は上がった。政権交代第二幕が上がる。