Thursday, November 13, 2008

南北戦争に終止符か

▼これほどまでに興奮を呼んで勝利した大統領候補はいただろうか。オバマ候補の勝利を祝福する著名人の声を紹介しよう。
▼政界からは、「昨日は紛れもなく非常に大きな前進だ。アフリカ系米国人として、特に誇りに思う」(ライス米国務長官)。破れたもののマケイン候補の弁は清々しかった。「米国は常に、努力する人に機会を与える国だ」。
▼オバマ支持者が多い映画界からは「今ほど自分の国を誇りに思ったことはないし、米国人であることを誇りに思う」(レオナルド・ディカプリオ)、「喜びで涙が止まらない。深い失望の時代に、希望がよみがえった」(マイケル・ムーア監督)。なお「セックス・アンド・ザ・シティ」主演のサラ・ジェシカ・パーカーはDCで選挙活動をボランティアで手伝ったそうだ。
▼音楽界も多い。敢えて黒人を外して二人。「歴史的な夜を共有出来て幸せです」(マドンナ)、「今まで公に選挙に関与したことはないが、オバマ氏という人間に鼓舞させられた」(ジャスティン・ティンバーレイク)。
▼テレビ界では「米国が正しいことをしたと思う。人々の意識に大きな変化が起こった」(オプラ・ウィンフリー)。スポーツ界からは、「(亡くなった)父はずっと、有色人種の大統領を夢見ていた」(タイガー・ウッズ)。
▼友好国は割愛する。宿敵イランは「あなたが国民の真の利益と正義を優先させることにより、名声を得ることを希望する」(アハマディネジャド大統領)。変わったところでは「イスラムの教えを共に信じよう」(イラクのアルカイダ系グループ「イラク・イスラム国」)。
▼「オバマ氏の勝利はケニアにとっての勝利でもある」と言ったのはオバマ氏の父親の故郷ケニアのキバキ大統領。6日を国民の祝日にしてしまった。
▼日本人もあげておこう。「ブッシュさんと違って環境問題にも熱心だし、頑張って欲しい」(選挙当日ニューヨークにいた女優の藤原紀香)。

Sunday, November 02, 2008

米国で暴動が起きる?

▼あまり表立って報道されていないようだが、10月1日より、州兵ではなく米陸軍の実戦部隊が米国内に展開されることとなった。名目はテロ対策だが、陸軍は市民が起こすかも知れない暴動の鎮圧訓練をするという。
▼米国史上初の黒人大統領が誕生するかも知れない大統領選を控え、全米各地で不穏な動きが広まっているのは事実だ。
▼ノースカロライナ州の大学のキャンパスに20日、頭を撃たれた黒い子グマの死骸が放置されていた。子グマにはオバマ氏のポスターが添えられた。オレゴン州の大学では、オバマ氏に似せた段ボール製の等身大人形が縛り首の状態で木にぶら下げられた。テネシー州では、銃不法所持などの疑いで逮捕された白人の若者二人が、オバマ氏の暗殺を計画していたことが27日、明らかになった。
▼一方、24日には、共和党のマケイン候補陣営の女性運動員(20)が、オバマ候補の支持者とみられる黒人男性に暴力をふるわれ、金を奪われたなどと虚偽の通報をする事件が起きた。
▼オバマ氏優位のまま大統領選を迎えるが、それだけにもしオバマ氏が破れれば黒人暴動の可能性も取沙汰される。オバマ氏が当選してもしなくても何かが起きる可能性があると、治安当局は警戒を強めているという。
▼これだけでない。大恐慌以来ともいわれる金融危機の問題だ。こちらの方がより深刻かも知れない。JPモルガン・チェース銀行の全米各地の支店や事業所には、白い粉入りを含む30通を超す脅迫状が送り付けられた。
▼ウォール街や大企業のエリートたちを救うために何故、庶民のなけなしの税金が使われなければならないのか、不満を募らせる者は少なくはないはずだ。
▼不況はすでに始まっている。貧困、失業、差別—。連邦政府への憎しみが渦巻き、武装したネオナチやミリシア(民兵)も多数存在する米国。多様な米国民をまとめ上げ希望の持てる社会にすることが次期大統領に求められている。(武)