▼旧日本軍の従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪などを求める米下院の対日決議案の共同提案者が、当初の6人から42人に増えた(12日時点)。リベラル派が多数だが、ダンカン・ハンター前軍事委員長(共和党)や決議案に反対していた親日派のローラバッカー下院議員(共和党)のような保守派も賛成に回っている。
▼日系のホンダ議員(民主党)らが提出した決議案は、当時の日本政府が関与し、「軍の強制売春」があったとして「残酷さと規模において前例がない」と非難。過去に四回提出され、昨年初めて下院外交委員会で可決されたが、日本政府の協力なロビイスト活動もあり、廃案となった。
▼今年は元慰安婦3人による公聴会も開かれ、韓国人元慰安婦の金君子さん(81)は「多い日には40人に強姦(ごうかん)され」、妊娠し中絶を強いられたと証言した。今回の決議案は「人権」と「女性の権利」に力点が置かれ、女性のペロシ下院議長(民主党)が理解を示していることから、本会議で可決される公算が大きい。
▼安倍首相は「決議があったからと言って、我々が謝罪することはない」と断言。従軍慰安婦に対する「おわびと反省の気持ち」を表明した93年の河野官房長官談話を「基本的に継承する」と言いつつ、「決議案は客観的事実に基づいておらず、日本政府のこれまでの対応を踏まえていない」と指摘、政府、自民党で再調査する考えを表明した。
▼これに米国メディアは猛反発。ニューヨークタイムズ紙は「連続的レイプで売春ではなかった」と書き、ロサンゼルスタイムズ紙は天皇による謝罪を提案する社説まで掲載した。
▼首相は11日のNHKの番組で「慰安婦の心の傷は大変な傷。心からおわびしている」と発言したが、ホンダ議員は、歓迎するが公式の謝罪には至っていないと一蹴。首相の主張は、軍が人さらいのように連行する「狭義の強制はなかった」のようだが、経過を見るに「言い逃れ」と思われても仕方ない。間違っても「恥の上塗り」は避けて欲しいものだ。(CAPITAL 07年3月15日号より転載)
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