Thursday, May 14, 2009

小沢代表辞任とネガティブキャンペーン

▼小沢一郎氏が、民主党代表を辞任した。小沢代表が公設秘書の起訴後も続投していることに「納得できない」人が71%に達した(読売新聞社の世論調査)というのでは致し方ないのだろう。しかし数字の信憑性はともかく、逮捕理由の「政治資金報告書の虚偽記載」がどうゆうものか、また「推定無罪」の段階であることを、その71%の人たちはどの程度分かっているだろうか。
▼ここにあるのは、“なにやらお上に起訴されたんだから、きっと悪い事をしているに違いない”という「大衆感覚」だろう。大手メディアですら“自民党以来の金権体質までは変えられず、最後に足をすくわれた”といった論調なのだから無理もない。
▼感じるのは陰謀説や「国策捜査」よりも米国の大統領選などでよく使われるネガティブキャンペーンとの類似だ。対立候補を叩くためあらゆるスキャンダルを探し出し、場合によってはありもしないことで誹謗・中傷する運動だ。
▼2000年の米大統領共和党候補予備選では、「マケインは黒人女性との間に婚外子を設けた(実際はバングララディッシュから養子)」などのデマが流された。清廉潔白な人柄で知られるマケイン候補は、あまりの卑劣なやり方に戦意消失、ブッシュ候補に敗北した。04年の大統領選挙でも、ベトナム軍歴をめぐるネガティブキャンペーンでケリー候補は支持率を落とした。
▼あまりの汚さに前回の大統領選では減ったが、選挙が人気取りであり投票である以上、こうしたことはついて回る。政権交代を目指すというが、本当に政権を取るつもりなら日本の民主党もこうしたことを学ぶ必要があるだろう。
▼それにしてもである。米国のネガティブキャンペーンでも検察特捜部といった国家権力が使われることはない。マスメディアは、何故この時期に秘書を逮捕・起訴したのかという検察への追及を怠った。国民はこのことにもっと疑問を持つべきだ。フェア(公平)でなければ民主主義ではない。