Friday, October 19, 2007

サブプライムローンとクリスマス

▼サブプライムローンとは、住宅価格の上昇と低金利を前提に、本来なら支払っていくのが困難と思われる低所得者に夢のマイホームを持てる住宅ローンだった。
▼だが前提が崩れた。住宅市場の不振と金利上昇が重なり、返済不能が続出した。ここで終わっていればまだよかったかも知れない。
▼住宅ローン会社はリスクを分散するためローン債権を小口化して売却。このため債権を担保とした証券をはじめ各金融商品も返済不能続出とともに価格が急落。そこに世界中でお金がたぶつく中、ヘッジファンドや金融機関、年金基金などが高リスクにもかかわらず相次いで購入した。
▼三日、リード上院内総務(民主党)らは、来年にかけて約二百万世帯が返済不能・差し押さえで自宅を失う恐れがあり、「これは国家的な危機だ」と対策強化を訴えた。各金融会社もサブプライムローンの赤字、撤退やリストラなどを相次いで発表した。
▼この問題は、他の証券などと組み合わせた金融商品もあるため損失規模を確定しにくいところにある。一体どうなっているのか購入者もよく分らないのだ。そのため米景気失速ばかりか、世界同時株安、世界同時不況に突入する恐れに世界中が震撼した。
▼ところが、五日のニューヨーク株式市場のダウ工業株三十種平均は一時、前日比150・23ドル高の一万4124・54ドルに達した。これは取引時間中での過去最高値だ。サブプライムローン問題はそれほどで深刻ではないと判断されたのか。
▼確かに、同日発表された九月の雇用統計(速報、季節調整済み)によると非農業部門の就業者は前月と比べ十一万人増加、雇用改善の目安十万人を四カ月ぶりに上回った。だが、雇用統計ほどおおざっぱで当てにならないとの専門家の指摘もある。
▼クリスマス商戦前に消費後退を招くわけにはいかない。そんな声すら聞こえてきそうな株価の動きが、「破綻」の先送りではないことを願うばかりである。